いちじくの花

あたしはイチジク、略してあーイク

日記たち

ここ一年ほどローカル媒体でしか日記をつけていなかったので、この前のように急に再現不可になってしまうと恐ろしい。過去一年の日記の中で内容的に意味のあるものを、登場人物の実名などは適宜変えながら転載することにした。思い出には美しい日々しか残ら…

限度額

水爆と自慰のことで頭が真っ白になり怒られ続けた勤務を終えて、吹き飛ばされそうにからっぽのおれはせめて中身を詰めようとフラフラとラーメン屋に向かう。塩と油にまみれた刺々しいラーメンの味はどこかしら自傷の感覚に似ていて、自分がめちゃくちゃにな…

中身

かぶとむしの蛹を潰したことがおれはある。朝にざんざかと落とされた水が陽に灼かれて天に戻って行く、むせかえるように甘ったるい六月の午後二時……安っぽい唐揚げに似た奴の腹に割り箸を突き刺して少しずつ広げると、腐り溶けた牡蠣のような濃厚な蜜が、ど…

阪急総帥ってデケェよ

昔の先輩だった関西人の長町先輩と喫煙所でたまたまバッタリ出会った。近所に阪急のお偉いさんが女を囲う為だけのこぢんまりとしたマンションがあると聞いたので興味本意で連れられて侵入したのだが、五階のエレベーターホールで擦れ違った夜の蝶風のきらび…